電子書籍制作における字形について

当室では、平素印刷物を制作する際に、適切な字形を表記するために、字形の整理・置換を行っていますが、これらの文字のうち、電子書籍においてそのまま使用できない文字(字形)が存在します。
また、電子書籍は紙とは異なり、読者の閲覧環境次第でフォントが変わりますので、制作サイドで字形を100%コントロールすることができません。

使用できない文字に関しては、外字画像にするか、表現可能な字体に置き換えるか(例えば印刷標準字体→新字体のように置換可能な字体が存在する場合)、という選択を迫られることになります。

そこで、当室としては以下の方針に基づき、電子書籍の字形の整理・置換を行います。

1.JIS X 0213:2004対応のフォント(Pr6N等)を搭載したビューアでの閲覧を前提とする
上述のように電子書籍閲覧環境は多岐にわたるため、全ての閲覧環境で同一の字形を保証できません。
当室としては、JIS X 0213:2004対応のフォント(Pr6N等)を搭載し、閲覧できるビューアでの閲覧を前提として字形の整理・置換を行います。

2.外字画像をできるだけ減らす
外字画像を多用することは検索の利便性を損ない、アクセシビリティに悪影響を与えます。
また、成果物としての電子書籍の完成度という点でも、外字画像だらけの状態は決して望ましくないと考えます。
したがって当室としては、指定されたフォーマットで表現できる範囲に字形を収める目的で、字形の整理・置換を行います。

3.ご依頼いただいた形式で表現可能な、最も適切な字形で電子書籍を提供する
ある時点の電子書籍フォーマットでは表現不可能な字形であっても、将来的にEPUB3への切り替え、Unicode IVSの一般普及などで表現が可能になる可能性はあります。
そこで当室としては、電子書籍変換前のデータを社内でアーカイブし、次回別形式での制作依頼をいただいた際にはアーカイブ元データから再度変換をかけることで、常にその時点の電子書籍で表現可能な最も適切な字形を維持し、提供するものとします。

もちろんこれらはあくまで「基本的な方針」ですので、個別の箇所について外字対応(作字処理・画像化)のご指示をいただいた場合、置換字形表等のご提示をいただいた場合は、指示に従って外字化を行います。

三陽社メディア開発室(2012.09)